症例紹介

Case introduction
症例紹介の写真

尿道閉塞と急性腎不全


「おしっこが出ない」と来院されたフェレットさん。触診すると膀胱は今にも破裂しそうなほどパンパン。カテーテルで尿道を慎重に開通させ、優しく圧迫排尿を行うと……ドロドロの「膿(うみ)」が勢いよく吹き出してきました。 尿道に詰まっていた原因が取れ、すっきりしたフェレットさん。
↓膿が出ている様子

無事に開通して本当に良かったのですが、実はこの時、この子の体の中は「急性腎不全」という非常に危険な状態に陥っていました。

フェレットの尿道閉塞(おしっこが詰まること)は、決して珍しい病気ではありません。国内外の獣医科学論文でも、その危険性と原因が広く研究されています。

多くの研究論文において、去勢手術済みのオスフェレットが尿道閉塞を起こす最大の原因は「副腎疾患(ふくじんしっかん)」に伴う前立腺の肥大、およびそれに伴う尿道炎や嚢胞(のうほう)の形成であると報告されています。 副腎から性ホルモンが過剰に分泌されることで前立腺が巨大化し、おしっこの通り道をギューッと押し潰してしまうのです。そこに今回のように細菌感染による「膿」や「結晶」が混ざると、完全に尿道がロックされてしまいます。

論文データによると、尿道が完全に閉塞してから24〜48時間以上が経過すると、体内の老廃物(毒素)が排泄できなくなり、高窒素血症や高カリウム血症を伴う「急性腎不全」を引き起こします。最悪の場合、心停止や膀胱破裂を招き、命を落とします。今回のフェレットさんも、まさにその一歩手前でした。

フェレットは痛みを隠すのがとても上手な動物です。以下のサインが1つでもあれば、夜間であっても一刻を争います。

・トイレに何度も行くのに、おしっこが出ていない(または数滴しか出ない)

・おしっこをする時に「クックッ」「ギュー」と鳴く、痛そうに踏ん張る

・お腹(下腹部)を触ると、硬いボールのようなもの(パンパンの膀胱)がある

・急に元気や食欲がなくなり、ぐったりしている

・嘔吐(おうと)がみられる

尿道閉塞は、お家で様子を見ていて治る病気では絶対にありません。「半日様子を見よう」という判断が、命取りになります。

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