症例紹介

Case introduction
症例紹介の写真

扁平上皮癌


フトアゴヒゲトカゲの「まぶた」にできた小さなしこり。犬や猫と同じように、爬虫類にも皮膚の腫瘍ができることがあります。
「爬虫類に腫瘍なんてあるの?」と思われるかもしれませんが、実は決して珍しいことではありません。

今回は、フトアゴヒゲトカゲの症例を通じて、早期発見の大切さと爬虫類ならではの治療の難しさについてお話しします。

ある学術報告によると、トカゲの症例のうち約8.5%で腫瘍が確認されたというデータがあります。
この数字だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、実際には詳細な検査が行われる前に命を落としてしまうケースも少なくありません。

そのため、実際にはもっと多くのトカゲたちが、腫瘍という病気に直面している可能性があります。

腫瘍には、大きく分けて二つのタイプがあります。

・見つけやすいもの: 皮膚など、体の表面にできるもの

・見つけにくいもの: お腹の中など、外からは見えないもの

お腹の中にできる腫瘍は、かなり進行して本人の体調が大きく崩れるまで、外見からは判断がつきません。
それに対して、皮膚の腫瘍は「見た目の違和感」として現れます。
飼い主様が日々の触れ合いの中で「あれ、おかしいな?」と気づいてあげることが、治療への唯一の入り口になります。

今回、まぶたに「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」という腫瘍が見つかったフトアゴヒゲトカゲさんの手術を行いました。

爬虫類の手術において、獣医師が最も頭を悩ませるのが「皮膚のゆとり」です。
鱗に覆われた彼らの皮膚は、哺乳類に比べて非常に伸びにくく、進展性が乏しいという特徴があります。

腫瘍を完全に取り切るためには、周りの正常な組織も含めて切除する必要がありますが、大きく切り取ると、今度は傷口を閉じるための皮膚が足りなくなってしまうのです。


今回の手術でも、周辺の皮膚を慎重に寄せながら、細心の注意を払って縫合を行いました。


「いつの間にか、小さな出来物ができている」
「昔からあるけれど、少し形が変わった気がする」

こうした「いつもと違う」サインを見つけられるのは、毎日愛情を持って接している飼い主様だけです。
特に顔周りや手足など、よく観察してみることで見つかる異変もあります。

もし体に気になるしこりや膨らみを見つけたときは、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。
爬虫類の腫瘍治療は、発見が早いほど、体への負担を抑えた選択がしやすくなります。

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