症例紹介

Case introduction
症例紹介の写真

腫瘍切除


腫瘍切除の症状

今日もまさの森•動物病院には色々な動物たちが訪れました。

さて、今日の症例は、珍獣スローロリスさん(ゆっくり動くお猿さんの一種です)の腫瘍切除のお話です。

スローロリスは現在、地球にとって稀少な動物種であるためワシントン条約で最も保護レベルの高い「サイテス1」に分類されている動物です。(もちろん、飼い主さんは飼育許可を得ていますのでご安心ください。)動物園など限られた場所で彼らに出会う事はできますが、町で出くわす事はまずないでしょう。会えたら超ラッキーです。(まさの森•動物病院では会えますよ)

今日お話するロリスさんは、以前から熱心に健康診断に来院してくださっていました。今回は顎のデキモノで来院されたのですが、見てみるとまだ小さく「大きめのニキビ」という程度でした。 しかし、念のために細胞検査をしたところ、このデキモノは「肥満細胞腫」の疑いが濃厚でした。

肥満細胞腫は肥満の子に出来るという意味ではありません。肥満細胞腫には、良性のものと悪性のものがあるのですが、犬における肥満細胞腫は、ほぼ100%悪性です。 ロリスさんたちにおける肥満細胞腫が悪性である確率がどの程度かは、データが少ないため判断は「安牌をとる」というのが無難だと考えます。

もし良性のものなら「オデキが消えてすっきり」ですし、悪性のものなら早期発見早期治療が鉄則です。

手術は無事に終了。摘出した細胞を検査に出すかはまだ決定していませんが、良性であることを祈ります。 今回の早期摘出を可能にした要因は、一重に「飼い主さんの愛情!」です。 じっくりと日々観察しているから、異変にすぐに気付けるのです。

飼い主さんはある時こういっていました。「この子が元気に長生きして欲しい。ただ、ただ、それだけを願っているんだ」と。

今日の術後、麻酔からぼんやりと目を覚ましたロリスさんは、みるみるうちに目が涙目になり、しまいには大粒の涙が両目からポロリとこぼれ落ちました。僕も妻も長くロリスを飼育していますし、麻酔や手術も経験がありますが、「ロリスの涙」は今回初めて見ました。

動物は痛みや苦痛にさらされても、普通「涙を流す」という行動はみられません。身に覚えがないのに知らない所に居る上に顎も痛くて、心細くなったのでしょうか? 「おとうさぁん。。。」と飼い主さんを思って泣いているような表情でした。

人間の赤ちゃんのような動きや表情をするロリスたち。涙を流すなんて、心の感じ方も人と似ているのだろうか。

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