症例紹介

Case introduction
症例紹介の写真

胃うっ滞症候群


今回ご紹介するのは、ごはんを食べなくなったウサギさんのお話です。

草食動物がご飯をたべなくなったら・・・犬や猫みたいに数日様子をみても大丈夫かな?また、自然と牧草を食べ始めるんじゃ無いかな?? (犬や猫なら大丈夫というわけではありませんが・・・) という感じでウサギさんやモルモットさんの健康状態を管理している飼い主さんは案外多いのではないでしょうか? 草食動物では命に関わる事も多く、非常に危険な状態かもしれません。

その原因の一つとしてとても多いものに胃うっ滞症候群があげられます。

胃のうっ滞(胃の内容物が胃から出て行かず渋滞してしまう状態)は、高い糖質と低繊維の食餌、ストレス、運動不足、毛の摂取、脱水などいろいろな原因と関係しています。

早期に異常を確認して治療を開始すれば数日で改善することが多いのですが、なかなか改善しない場合もあります。特に大量の毛を摂取していたり、胃の内容物がカラカラに乾いてしまって塊となっている場合・・・治療に反応しなければ、手術をしなければなりません。

今回のウサギさんも食欲不振と便が出ていないということで来院されました。触診では腸管内のガスと胃の中に固いものがあるのが確認され、早期に治療を開始したものの、あまり改善が見られず各種検査の結果、外科的治療を選択せざるを得ない状況となってしまいました。

胃をあけて、中をみてみると大量の毛玉が・・・。少しずつほぐして摘出していきます。手術は無事終わり、次の日には食餌をいつも通りに食べ始めました。 便も出るようになり、一段落。術後の経過も順調です。

しかしながら、一般的には胃のうっ滞での外科的手術の成績はあまり良くないとされ、最終手段なのかもしれません。

胃うっ滞症候群の症例写真

レントゲンでの腹部造影検査。赤丸で示した箇所が胃です。数時間ごとに撮影しても胃の内容物がそのまま停滞していました。白丸で示した場所が盲腸です。ガスが充満しているのが分かります。

胃うっ滞症候群の症例写真

全身麻酔で毛刈りと消毒が終わりました。今から手術です。外科的侵襲はなるべく少なく、できるだけ短時間で終わらせるように、一緒に頑張りましょう。

胃うっ滞症候群の症例写真

胃を縫合糸で釣り出して、切開を加えた所です。今から、胃の内容物を摘出していきます。

胃うっ滞症候群の症例写真

胃の中に詰まっていたもの・・・それは毛玉と細かい牧草の繊維でした。

胃うっ滞症候群の症例写真

最終的にはこのウサギさんの顔と同じくらいの量の毛玉が摘出されました。これが胃の中で停滞して邪魔していたようです。手術後、次の日にはご飯をモリモリ食べるようになりました。

関連する症例
公式Youtubeチャンネル
おすすめ動画
  • 獣医師が教える飼い方9つのポイント

  • 獣医師が教える多い病気5選

ウサギの動画リストを見る
来院が難しい方

まさの森・動物病院は、診療時間に来院いただくことが難しい場合に、様々な診療方法をご用意しております。

往診

来院が困難な動物については午前と午後の診療の合間に、ご自宅までお伺いする往診にて診察・治療を行っています。

夜間診療

急患の場合には、夜間・休日の時間外診療をお受けしています。一人での診療になるため対応できない場合もございますが、精一杯診療させていただきます。

遠隔診療 ※準備中

エキゾチックアニマルの診療可能な動物病院はかなり少ないのが現状です。当院は日本全国からのご相談にもZoomに繋いで遠隔にて対応させていただきます。