症例紹介

Case introduction
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自咬症


今回ご紹介するのは、自分の体を齧らずにはいられないコザクラインコさんのお話です。

自分で自分の身体を傷つける行為を自咬症といいます。これは人間でのリストカットなどの自傷行為と同じものだと考えられます。残念ながら、動物は話すことができないので、その原因を特定してカウンセリングすることはなかなか困難なのが現状です。

しかしながら、自咬症が人の自傷行為と同じものだとするのなら、その原因も似たようなことが考えられます。つまり精神的なストレスを和らげるために鳥も自傷行為を繰り返しているのではないかと。(自傷行為によって脳内麻薬であるβエンドルフィンが分泌されます)

ただ、その精神的なストレスというは動物の場合もいろいろあります。寒い・暑い、うるさい、自由に飛べない、同種または飼い主さんとのコミュニケーション不足、いじめ、分離不安、性的欲求不満、恐怖などなど。

また、ボタンインコ類などでは自咬症を発症しやすいことから、種によっては遺伝的な背景がある可能性も示唆されています。他にも、幼鳥時に親鳥との十分なコミュニケーションをとる時間が少なく、早期に店頭に並べられるとストレス耐性が低く問題行動を起こす可能性が高くなる事も言われています。

治療としては、出血を繰り返している場合にはとりあえずエリザベスカラーを使用して強制的に傷をひどくするのを止めさせます。それと平行して自傷行為に及んでいる原因となるストレスとは何なのか、時間をかけてそのストレスを減らしていく努力が必要ですが、実際のところそのストレスをすべて取り除くことは困難であり、お互いの妥協点を見つけて付き合っていくような形を今のところはとらせてもらっています。残念ながら、エリザベスカラーを外すと自傷行為が再発することが多くそのまま継続することも多いのが現状です。

自咬症の症状

尾羽の上のあたりを自分で掘ってしまったコザクラインコさん。痛くても自分で自分を傷つけずにはいられないのかもしれません。

自咬症の症状

このままではひどくする一方なので、エリザベスカラーを首に装着して自分で齧れないようにしました。かなり窮屈だけど・・・

自咬症の症状

自傷行為をエリザベスカラーで強制的に止めたので、傷も綺麗に治ってもえてきました。精神的なストレスとはいったいなんなのか?それと上手く付き合っていくにはどうしたらいいのか?自咬症の改善にはまだまだ問題はあります。

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